小学館のWeb漫画、「やわらかスピリッツ」に無料掲載されている
切なくもブラックな食漫画、『人魚姫のごめんねごはん』。
金子みすゞさんの詩「大漁」のように、人魚目線でお魚料理を描く傑作漫画です。
絵が可愛くて、まるでピュアな少女漫画ですが、内容はなかなかにエグイのです。
【漫画「人魚姫のごめんねごはん」あらすじ】
テーマは”共食い”(?)。
めちゃくちゃセクシーな人魚の「エラ」ちゃん。
人間界に生まれてたら誰もがほっとかないような美貌の持ち主。
人柄(人魚柄)も良く、心優しく素直な娘です。しかし、
仲間のお魚たちは、非道な人間どもによって釣られ、食い散らかされる運命・・・。
エラちゃんは、意を決して、人間の姿になり、仲間たちの行く末を見届けます。
お店に無残な姿で並ぶお魚たち・・・。注文のみで、
その姿を見届けてショックを受け、帰ろうとするエラちゃんを、
お客の一人が咎めます。「食べられてこそ本望」と―。
友達を食べる行為。それは絶対にいけないことだけど、
供養のためにひと口頂いたエラちゃんの体に衝撃が走ります。
感想:「ごめんね、いいお味です―――!」。
↑この手のひら返し感・・・タダモノじゃありません。
そうして、次々釣られて料理されていくお仲間の魚たちを、
供養する名目で陸に上がっては、そのお味を堪能するエラちゃんなのでした。
【大岡昇平の「野火」を思い出しちゃった】
人間、食欲には勝てません。だって、本能だから。
命を繋ぐシステムに、理性が逆らえるワケもなく・・・。というあたりが、
「野火」の共食いを思い起こさせます。
エラちゃんは別に空腹の極限状態ってワケでもないんだけど、
共食いに背徳感を覚えながらもやっぱり食べちゃうあたり、
共通点がなくもないかなぁ、と^^
この「人魚姫のごめんねごはん」というマンガ、絵も美しくコミカル仕上げですが
じつはかなり残虐で、的を得てるのがすごく面白い。
「供養のために・・・」と自分に言い訳しつつ、仲間を貪り食うあたり、
リアリティーありますよね。しかも「美味しい」とか思っちゃう。
人間も人魚も、きれい事だけでは生きていけないんです(笑)
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