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佐野美央子先生の「日日べんとう」の魅力について

佐野美央子先生の「日日べんとう」の魅力について

佐野美央子先生の『日日べんとう』の主人公は

デザイン事務所でデザイナーとして働く谷 黄理子(たに きりこ)は32歳・独身です。

この事務所は社長以外全員が手作りのお弁当を持参していて、黄理子は、杉で出来ているワッパの弁当箱を使っています。

このお弁当箱は、黄理子の育ての親の方丈爺(ほじょじい)から、上京する時に貰った大切な大切な宝物なんです。

黄理子は親の事情で、幼少期から秋田県にある臨済宗創命寺に預けられていました。

この禅寺の先代の住職が方丈(ほじょ)様で、3年前に他界されています。

なので、黄理子にとってこのわっぱは方丈爺(ほじょじい)の形見でもあるんです。

佐野美央子先生の『日日べんとう』のナレーションはワッパ?

『日日べんとう』では、ワッパのナレーションで始まります。

1話目で杉のワッパのお弁当箱が、

「弁当箱がしゃべるなんて、おかしな話かと思われちゃうけど20年も大切に使いこんでくれれば、心も生じるってもの」

と自己紹介しています。

黄理子が15歳の時、母親からいっしょに暮らしたいと連絡があり、方丈爺が黄理子に伝えます。

「一日、一日、初めての佳き日じゃ、気軽に生きよ、黄理子」

そして

「そのワッパは東京に連れて行け、お前の手のひらにジャストフィットじゃ」

との言葉と共にワッパを持たせてくれます。

佐野美央子先生の『日日べんとう』の方丈爺の教え

方丈爺がワッパをくれる時に言った

「お前の手のひらにジャストフィット」

という言葉は、黄理子がもっと小さい時に教えて貰った事に繋がります。

食欲が旺盛で他の子供の分まで御飯を食べてしまう黄理子に

「その手の中に入る分がおまえの一回分の食事の量の目安じゃ(中略)食事は元々、生きた物、重さもあるし、心もある性格のように胃袋もみーんなちがう」

と、言い聞かせました。

『自分の両手のひらにのる分が、自分の1食分の適量』

だと言われた黄理子は、自分のお茶碗に出来るだけ多くの御飯を入れようと、ギュッギュッと固めて3倍の量を入れるようになってしまいました。

余談ですが、この時の幼い黄理子の必死な顔が可愛いんです。

禅寺で育った黄理子には『一汁一菜』『知足』『日日是好日』という考えが、すべての物事の基本にしっかりと根付いています。

その日、その時、自分の体に必要な物・欲している物を把握出来ていて、自分以外の人に対してもその判断をする事が出来るんです。

黄理子の主食は雑穀米ですが、何を入れるかどのくらいの割合で混ぜるか、その日の体調や気分によって変えています。

黄理子のお弁当は、その雑穀米と自家製の糠漬け(梅干しや浅漬けの時もあります)が基本で、そこにアジの開きや揚げ物が加わる日もあり、自家製のインスタント味噌汁の素のような『味噌玉』や保温ポットに入ったスープなどが加わる日もあります。

シンプルなのに本当に美味しそうなお弁当なんです。

このマンガを読むと自分の食生活を考え直すきっかけになると思います。


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