マンガ『おいしい関係』。槙村さとるさんの懐かしい代表作です。
リッチな家庭で育った女主人公「百恵(ももえ)」ちゃん。
パパはすごく舌の肥えた太っちょさんで、食べ過ぎて漫画冒頭で突然死してしまう。
ママもリッチな暮らしから抜けられず、グルメなものばかり買ってきては
高級着物を仕立てるのをやめない筋金入りのお嬢様です。
娘の百恵ちゃんは、家計が苦しくなり、それまでのお嬢様人生を捨てて
職探しをしますが、なにせ百恵ちゃん自身がお嬢様すぎてどうすればいいか分からない。
そんなとき、町の洋食屋さんの募集を見て、舌だけには自信のある百恵は
飛び込みで門を叩きます。(包丁も正しく握れないまま)
【空腹時いい香りに釣られた百恵。しかしグルメ道は険しい】
お嬢様育ちって、ある意味強いです。オットリしていながらも
怖いものナシな大物が多い感じ。百恵ちゃん(左)もそんな感じで、
それまで挫折せずに健やかに育ちすぎたために、
飛び込みで働いている洋食屋さんのシェフ・織田(右)に
めちゃくちゃ厳しく当たられるんです。
美味しい町の洋食屋さんは、オムライスが絶品。この味&香りに
百恵は誘われて働くことになりますが、料理の腕がからっきしなんですね。
五つ星レストランの味は分かるのに、自分で作るとなるとまたハナシが違う。
「甘え」ということで、挫折しまくりの百恵ちゃん。
織田シェフは百恵の舌を見込んで料理のイロハを叩き込む。
織田さんにだんだん恋していく百恵。しかし織田さんには美貌の彼女「可奈子さん」がいます。
この人は敏腕事業家。百恵ちゃんがどうにかこうにか支えてきた洋食屋さんを
最終的に買収しようとします。織田はどこかで百恵に惹かれてますが
それは可奈子さんと違い、百恵のココロがまっすぐで打たれ強く明るいため。
可奈子さんは生い立ちに事情があり、ちょっと病んだ一面を持つため、百恵に激しく嫉妬。
可奈子さんは料理もできますが、百恵の料理とは何かが違うんですね。
”冷たい味”というか。
【ここで思う。料理はハートが一番なのか?】
この「おいしい関係」の1つの大きなテーマが、
<料理はココロだ>ということ。で、果たしてほんとにそうなのか?という謎。
料理は技術や見た目も大事だけど、最後は
食べる人のことを想って作られたかどうかが肝心
ってコトらしいんですね。キッチンカウンターの向こうから、
席で料理を待つお客さんのコンディションを見る。
家族の胃袋コンディションを見る。食べたいものや適量を見極める。
そういう心の部分が大きくクローズアップされた作品なんですね。
つまり<おもてなし>という面が大きく扱われているんです。
「味は雑だけど心がこもっている料理」という描写がよく出てきて、
(これはマンガだからあり得る設定なのか?それとも実生活でもリアルにそうなのか?)
と考えたことがあります。
たとえば私には料理の腕らしきものはないんですが、
ヘタなりに、一生懸命には作っていると思っています。
でもやっぱりハートだけじゃ無理な部分はある。
やっぱり土台に料理の技術あってこそ、ハートも生きてくると思うんですね。
ハートのみで作っても、見た目が酷くちゃお箸をつけてもらえないでしょうし、
商売にもならない。もちろん、漫画なので美しく描かれていると言えばそこまで。
だけど「冷たい人間が技術に奔りすぎて味に人間味がない」ってことも
現実にはあり得るのかなぁ?と思う私です。
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